nurembergの日記

妊娠出産諸々の記録

息がつまる完璧な一日

専業主婦に育てられた私には季節ごとに完璧な一日の記憶がある。
幸せな子供時代。遊んで、ちょっと勉強して、美しい世界を見て、面白いテレビみて、
ジャンプ読んで、おいしいごはんを食べて、風呂入って寝るとまた新しい一日が始まって、
学校に行くと友達と遊べる。
今が一番苦労もなくて幸せな時間なんだろうなあと小学生の頃まで毎日思っていた。
 
先週、実家に行き、母とテーブルに向かい合うとそんな頃の
落ち着き、何かに包まれている感覚が少しだけ蘇った。
布団に手足を全てしまっているような安心感と、窮屈さ。
一度社会に出てしまうと、息苦しさとも感じる外界と全く遮断されている感覚。
この家は世界と本当につながっているのか、分からなくなる。
 
勿論今や母ものびのびと社会につながって普段は活動をしているし
私にもやりたい仕事とその場所がある。今休んでるけど。
 
社会人になってから、初めて長い休みをとった。
こんなに休むのが初めてだからなのかもしれない。
これから始まる長い生活の変化に不安だからかもしれない。
息がつまる。
 
試しに友人の家に遊びに行った。
午後、2人の小さな子どもの面倒を見て日が暮れる。
うんざりするような感情がむき出しで、理不尽で繰り返しばかりのやりとりは、
確かに身に覚えがある。残念ながら自分も母親にそうしてもらっていた。
そうやって育ててもらって大きくなった。
しかも、大してその1つ1つに大きな効果があるわけでもない。
でも全く効果がないとも言いきれない。
1万回母親に怒られても治らなかった悪癖は、時期がくれば
他者との関わりで見つけた自分なりの気付きであっという間に直ったりした。
でも基本的な人間への信頼感とか落ち着きとか幸福感なんかは、
小さい頃に身についたような気がしないでもない。
 
こんなにも人間を1人育てるのに別の人間の時間と忍耐がいるのかと絶望的になる。
組織で、会社で報われない仕事をやるほうが、まだ気がまぎれる。
「仕事をしている方が、絶対に楽」
と思う。そう思いながらお母さんをやっている友人も多いように思う。
これは本当に私達の仕事なのか。
 
そんなこと言うと、
よっぽど気が強くて自己実現欲の強い人間だとされて
誰かを養える程度に稼げる状態であってかつ、
凄く理解のあるパートナーを持っていないと認めてもらえないような雰囲気が
あるのかもしれないけど、そう言いたくもなるぐらいしんどい。
子育ての素晴らしさ、楽しさを知らないからそう言うのだ、と可哀想に思われて結構。
本当にこれが私達の仕事なのか?
こどもを望むことと、この仕事に自分の30代の大半を費やすことは
必ずしもセットじゃない。贅沢です、欲張りです。でも息が詰まる原因はそれだ。
男女の違いなんて意識しないで生きてきて、
でも実際こんなにも歩き方の違いがあるなんて、と納得できないまま
変われない20代が過ぎて、30代になった。
 
川上美映子の「きみは赤ちゃん」で、
女性であることに付随する不都合や辛さ全てを相手のせいにしたくなる
という産後の状態があるのだけど、全くそれ。ずっとそれ。
 
当面の解決方法として、
1人で抱えないで友達でも親でも何でも一緒にいること、
そのために地元を離れないこと、絶対仕事を辞めないことを心に誓う。
もっと妊娠期間が短ければ、たくさん産んでさっさと家庭内に
社会ができるようにしてしまうのもいいかもしれない。
近所に遊んでいるこどもの輪があればいち早くぶちこみたい。
家で親と子1対1で、力をもてあます子どもの相手をしきれないまま、互いに怒りながら
時間を過ごすより外でもみくちゃにされてケガでもしながら学ぶ方がずっといい。
ママ友とかいうが、共同で子育てをするために信頼できる友人が近所に何人かいることが
大事なんだと思い知った。ああ、大田区周辺のみんな、ほんとよろしく!
 
 
でも、もし自分が男なら、なんとなくめんどくさいし、出来ない要望ばかりされてもうんざりするし
自分の母親はうまいことやっていたはずだし、見ないふりして、俺は仕事で頑張るからとか言って
全て嫁に任せちゃうような人間だろうなとも思う。土日たまにサービスしてそれっぽい顔する。
それで子供は育つんだから、本当に楽なもんだ。
嫌になれば、鬼のように変わり果てた嫁から逃げてしまっても子供は育つ。
レア感がある分、自分の言うことの方がこどもに聞いてもらえたりもして。
 
そういう意味で、人類最大の敵はめんどくさい はここにも当てはまる。
少子化の原因も、めんどくさいだ。
女性にとってあまりにもめんどくさい。
 
これから始まるかもしれない日々に大して悲観しているわけじゃないし
面白おかしく創意工夫して生きていたい、それに協力してくれる人がたくさんいると
今は思えているけど、子育ての環境について
大切にしたい人が全力で仕事だけに打ち込むことを素直に応援できる自信がなく
手放しに幸福感満載という気持ちではない、
という37w6d。